気管支ぜん息の診断・治療用の新しい機器
呼気中一酸化窒素(FeNO)濃度測定装置
この度当院では、気管支ぜん息の診断に役立つ、呼気中一酸化窒素(FeNO)濃度測定装置 NIOX VERO (ナイオックス ベロ)を導入しました。

気管支ぜん息の本態は、気管支粘膜に起こっている好酸球性炎症です。好酸球性炎症が起こっていると一酸化窒素(NO)の産生が高まり、呼気の中に出てきます。実際に、気管支ぜん息の患者さんでは「呼気中のNO濃度」が高いこと、そして、重症の患者さんほどその濃度が高いことが明らかにされています。
気管支ぜん息の診断
下記の診断項目を参考にして診断します。
1.発作性の咳、ぜん鳴、息苦しさを繰り返す。
喘息に特徴的な症状である咳、ぜん鳴、呼吸困難が認められ、このような発作を繰り返し起こす。
2.治療などによって元に戻る気流制限がある。
気流制限は、呼吸機能検査を行うとわかりますが、小児では7~8歳以上でないと難しい検査です
3.気道過敏性の亢進がある。
気道過敏性検査は、運動負荷試験や薬剤による吸入誘発試験があります。どちらも簡単にできる検査ではありません。
4.アレルギー反応を起こす原因がある。
血液検査で、特異的IgE抗体値などを調べます。小児の場合は、ハウスダスト、ダニに対するアレルギーがみられることが多いです。しかし、アレルギーがあれば、気管支ぜん息であると診断できるわけではありません。
5.気道の炎症がある。
気道で起きている好酸球性炎症を直接調べる検査には、気管支肺胞洗浄液検査や喀痰細胞診等がありますが、小児での実施は困難です。「呼気中NO濃度」は好酸球性炎症の程度をよく反映していることがわかっています。
また、血液検査を行い好酸球数や総IgE値などを参考にして、好酸球性炎症の程度を推測します。
6.他の疾患を除外できる。
上記の診断項目を参考にして、気管支ぜん息の診断を行います。最も重要な項目は、1番目の症状です。診断の参考となる検査がありますが、小児では難しいものもあります。「呼気中のNO濃度」検査も、小さい子どもではできませんが、気管支ぜん息の本態である好酸球性炎症の程度を知ることができる点で大変優れた検査であると言えます。
これまで小児の気管支ぜん息は、医師が主に特徴的な症状をみて診断していました。しかし、特徴的な症状に客観的なデータである「呼気中のNO濃度」を加えることにより、より正確に気管支ぜん息の診断をすることが可能になりました。また、診断後の治療においても、効果的な治療が行われて症状が改善しているか否かを判断することができます。例えば、ステロイド吸入を導入してぜん息症状が軽快してきたときに、「呼気中のNO濃度」を測定して低下していれば、治療により好酸球性炎症が抑えられたことによりぜん息症状が改善してきた、ということがわかります。反対に、「呼気中のNO濃度」が低下していなければ、治療が不十分であることがわかります。
「呼気中のNO濃度」測定は、気管支ぜん息の診断だけでなく、治療効果の判定にも役立ちます。
咳が長引いている患者さんの「呼気中のNO濃度」を調べることにより、気管支ぜん息の可能性が高いか、低いかを判定することができます。ただし「呼気中のNO濃度」は、気管支ぜん息に特異的というわけではなく、アレルギー性鼻炎やウイルス感染症でも高くなりますので、NO濃度だけで気管支ぜん息の診断ができるわけではありません。
検査方法
6歳前後から検査できます(個人差があります)。
実際の測定手順

1.初めに息を全部吐き出します。2.フィルタをくわえて息を一杯吸います。3.そのまま、今度は息を吐き出します。その時画面のアニメを見て吐く息の強さを調節します。4.結果が出るまで1分待ちます。
「呼気中のNO濃度」を測定する際には、小児では10秒以上一定の強さで息を吐き続ける必要があります。吐く息の強さがわかるように3種類のアニメが用意されています。写真は風船を持った女の子が、向こう側までうまく飛んでいくようにして、吐く息の強さを調節するアニメです。

他に、女の子ではなく雲が飛んでいくもの、メーターの針の振れで調節するものがあります。

ゲーム感覚で検査ができるように工夫されています。
