院長紹介
INTRODUCE
院長ごあいさつ
小児科医の仕事は、まず、子どもたちの病気を治すことです。 けれども、私たち町医者が診ている子どもたちの病気のほとんどは、自然に治るものです。 ですので、実際治すことに関しては、私たちにあまりできることはありません。 それより大切なのは、何の病気なのかを正しく診断し、病気の経過を予測して、それを患者さんに伝えることです。 そして、予測どおりに子どもたちがよくなってくれるかどうかを見守ることです。
私たちは病気になってしんどい子どもたちのそばに、実際にいてあげることはできません。 けれども、病気を治そうと頑張っている子どもたちに、一緒に頑張ろうねというメッセージを伝え、しんどい時の支えのひとつになることが私たちの仕事だと思います。
私は熱心な真言宗の宗徒というわけではありませんが、以前四国の八十八ヶ所を歩いたことがあります。 白衣をはおり、菅笠をかぶり、手には金剛杖を持って歩きます。 この杖は、弘法大師の分身であると考えられています。 四国の遍路では、「同行二人」という言葉がよく使われます。 一人で歩いていても、弘法大師と一緒に歩いているということを意味します。 杖を持っていると、たとえひとりぼっちで山の中を歩いていても、一人ではないという安心感がありました。 弘法大師を引き合いに出すのは、大変おこがましいことですが、私の気持ちとしては、少しでも病気の時の不安を減らすことができれば、小児科医としての仕事が少しはできているのではないかと思います。
院長/医学博士・小児科専門医 須藤 茂行 Shigeyuki Sudo
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経歴
- 1986年
- 京都府立医科大学医学部 卒業
京都府立医科大学小児科 入局 - 1987年
- 愛生会山科病院 小児科
- 1989年
- 国立舞鶴病院 小児科
(現・独立行政法人国立病院機構舞鶴医療センター) - 1990年
- 京都府立医科大学 小児科助手
- 1991年
- 国立療養所青野原病院(現・独立行政法人国立病院機構兵庫あおの病院) 小児科
- 1994年
- 京都府立医科大学 小児科助手
- 1995年
- 京都第一赤十字病院 小児科
- 1998年
- 済生会 京都府病院 小児科
- 1999年
- 能登川町国民健康保険能登川病院 小児科
(現東近江市立能登川病院) - 2002年
- すどう小児科医院 開院
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所属学会
- 日本小児科学会
- 日本アレルギー学会
- 京都禁煙推進協議会
当院の想い
子どもたちの将来を考える
35年以上小児科医をしていますが、この間に子どもたちの病気も大きく変わりました。新しい予防接種ができて細菌性髄膜炎やロタウイルス腸炎をほとんどみなくなったことです。昔ある病院で当直をしていた時に、髄膜炎疑いの子どもを入院させました。夜間なので検査技師さんもおらず、自分で、髄液検査をして採取した髄液の白血球数を調べるために、検査室の顕微鏡で見ると細菌がうようよ動いていてぞっとした覚えがあります。その子は幸い助かりましたが、細菌性髄膜炎は命を落とすことがある恐ろしい病気です。
ロタウイルス腸炎は冬になると保育園や幼稚園で流行して多くの子どもがかかりました。発熱、おう吐、頻回の下痢で、小さい子は脱水になりやすく、点滴を必要とすることが多々ありました。母親もかかってしまい、親子に点滴をしたこともありました。しかし、ワクチンのおかげで今では重症のロタウイルス腸炎をみることはありません。
また、今では広く使われているタミフルなどの抗インフルエンザ薬が出たのは、私が医者になって15年くらい経った頃でした。それまでのインフルエンザ治療はかぜと同じような対症療法でした。抗生物質も処方していたと思います。インフルエンザウイルスには効果がないにもかかわらず。インフルエンザだけでなく、かぜにも抗生物質を処方していました。今日ではあり得ないことですが、反省すべきことです。病気も様変わりし、新しい治療薬の登場や、新しい考え方の広まりによって病気の治療方法も変わっています。
私たち小児科医が最も多くみている病気は、かぜです。かぜは、ほとんどの場合、自然に治る病気です。私たち小児科医の仕事は、子どもたちのかぜがちゃんと治るのをみまもることと言ってよいと思います。(詳しくは「かぜの治療」)
こどもの特徴は、成長し、発達し、変わっていくことです。今日できなくても、明日、数か月後、数年後にできたり、病気が治ってしまう可能性があります。大人では難しいですが。すぐに治らなくても、成長とともに、治っていく病気もたくさんあります。夜尿症のほとんど、便秘症や喘息の半数、アトピー性皮膚炎の一部などです。これらの病気の場合には、治りにくくならないようにしてあげることが大切です。今のことだけでなく、将来のことも考えて子どもたちをみていく姿勢が大切だと思います。
診療中に、時々、子どもたちの目を見ることがあります。この目は将来何を見るのかな、などと想像します。そんな時、未来を生きる子どもたちとつながりを持てる小児科医を選んでよかったなと思います。