一般診療・小児科
GENERAL
当院の診療について

大きなけがを除くすべての病気の子どもたちを診察します。
発熱、鼻水、咳、下痢、おう吐、頭痛、腹痛、などの子どもたちによくみられる症状だけでなく、赤ちゃんの夜泣き、便秘、体重増加不良や、幼児期に発症することが多い各種アレルギー疾患や、学童期にみられる夜尿症や心身症なども診察いたします。
お子さんのことで、なにか心配なことがあれば相談してください。
当院の特徴
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診察はゆっくり
かけっこがビリだったように、早くすることは得意ではありません。どちらかと言えば、生来のんびりした性格です。時間がかかっても、丁寧に診ることを心がけています。聴診や触診にも時間がかかります。お待たせすることがあるかもしれませんが、私なりに休まずに走っていますのでお許し下さい。
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医院はむかし風
ネットでの予約システムはありますが、直接話を聞いて問診を行います。診察中にできるだけ子どもたちの話を聞くようにしています。予防接種は、窓口か電話で予約をとってもらいます。次回の接種時期は付箋に記入する方式で、十数年前から変わりません。
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院内は手作り
注射の後に貼る絆創膏は看護師さんの手書きイラスト付きです。その他にも、ベッドの上のモビールやキッズスペースの木のおもちゃ、玄関のショーケースの中にある屋久杉の木と人形など手作りのものがあります。待合室、診察室、処置室などに飾ってある絵は、イギリスのダグ・ハイドさんのパステル画の作品(もちろん版画ですが、彼は手を使って絵を描いているそう)です。医院も同じように、良いものを職員皆の手で作っていきたいと思っています。
子どもによく見られる病気
1かぜ(かぜ症候群)

かぜの原因となるウイルスの種類は200とも300とも言われていますが、主なウイルスは、ライノウイルス、コロナウイルス(新型コロナウイルスではない以前から存在しているもの)、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルスなどです。ウイルスが多く9割ほどを占めますが、溶連菌(A群溶血性連鎖球菌)、インフルエンザ桿菌、肺炎球菌などの細菌やマイコプラズマも原因となることがあります。
かぜの症状
人が一生の間に何度もかかる病気ですが、普通感冒とも呼ばれるかぜではくしゃみ、鼻水、鼻づまり、喉の痛み、等の症状で始まり、その後、熱や頭痛や咳が出てきます。
代表的なウイルスはライノウイルスで、秋から春にかけて見られます。一方、夏かぜと言われるものは、咳や鼻水は目立たず、発熱が主な症状で、発疹、結膜炎、下痢などを伴うことがあります。エンテロウイルスやアデノウイルスが代表的なウイルスです。
初めに息を吸う時にウイルスが鼻の中に入ってきます。すると、異物が入ってきたときの防御反応が働き、くしゃみをしたり、多量の鼻水を出して、入ってきたウイルスを外に出そうとします。
また、ウイルスがのどの方へ入っていくと咳反射が起こり、のどからウイルスを外へ出そうとします。防ぎきれなかったウイルスが、鼻やのどの粘膜に侵入して、はじめてかぜにかかったことになります。さらに、ウイルスがのどの奥の気管へ入っていくと、咳がきつくなり、痰が出てきます。ウイルスの種類や感染したウイルスの量によっては、熱が出ることがあります。
経過
くしゃみ、鼻水、咳などの症状で始まりますが、初め鼻水は透明の水様性(水のような)鼻汁です。2日ほどたつと、くしゃみは減り、鼻水は徐々に白く濁り、粘りけが出てきます。熱が出ることもありますが、多くの場合3日ほどでおさまります。
その後、鼻水は黄色や緑のどろっとした膿性鼻汁(いわゆる青ばな)になり、初めから1週間ほどで、おさまります。咳は、初め乾いた咳であったものが、徐々に痰がからんだ湿った咳に変わってきます。ほとんどの咳は1~2週間くらいでおさまります。
当院のかぜの治療
くしゃみ、鼻水、咳、発熱などのかぜの症状は、体の防御反応ですので、それらを止める鼻水止め、咳止め、解熱剤などは必要ないとも言えます。薬を飲まずに、1週間ゆっくり休んで自然に治るのを待つという方法でもよいと思います。
当院では、防御反応を止めてしまうような強い薬は出しません。原則鼻水を止める抗ヒスタミン薬を使うことはありません。しかし、防御反応とはいっても、鼻がつまって息ができなくなったり、咳がきつくて眠れなくなったり、吐いたりすることもあります。症状が強く、日常生活に支障があるような場合は、鼻づまりや咳の症状を和らげる薬を処方します。特に、喘息がある場合や気管支が弱くゼロゼロが出やすい子どもたちには、鎮咳去痰薬とともにロイコトリエン拮抗薬(気管支の炎症を抑え咳や喘鳴の悪化を防ぐ薬)を処方することもあります。最後に、抗生物質ですが、のどの検査で溶連菌やマイコプラズが出た場合や血液検査で細菌感染と考えられる場合は使いますが、それ以外では基本的に使いません。
経過をみる時の注意点

発熱が、3日以上続く場合はもう一度受診してください。3日たっても容態がよくなってこない場合も受診してください。赤ちゃんは、飲み具合が落ちてくる場合は受診してください。3か月までの赤ちゃんは、途中で熱が出てきたときは必ず受診してください。また、まれにこじれる(細菌の二次感染)ことがあります。
高熱ときつい咳が続く場合は気管支炎や肺炎、熱はないけれども朝晩の咳が続く場合は喘息や喘息性気管支炎、黄色や緑色のどろ鼻が1週間以上続く場合は副鼻腔炎、耳を痛がる場合は中耳炎、などになることがあります。
かぜを早く治す方法はあるのでしょうか?

30年以上小児科医の仕事をしていますが、そのような方法を私は聞いたことがありません。もし、そんな方法があれば、すべての小児科医がそうしているでしょう。かぜの引き始めの時期に使って、体を温め、発汗を促し、早く治すといわれている漢方薬はありますが。ウイルス感染であるかぜが治るのには、体の中に入ってきたウイルスをやっつけなければなりませんので、2~3日熱が出て、やっつけたウイルスの後片付けをするのに1週間くらいかかります。
この間のかぜはすぐ治ったのに…
かぜのウイルスは200種類以上あると言われています。
インフルエンザのように高熱が出るウイルスや、RSウィルスやヒトメタニューモのように咳がきつくなるウイルスや、熱が出ないウイルスなど様々です。
また、かぜにかかる人の体調も様々です。寝不足であったり、疲れがたまっていたりすれば、かぜの症状は強くなりやすいでしょう。以前にかかったことがあれば、免疫があり軽く済みます。ひとつとして同じ経過をとるかぜはないと言ってもよいでしょう。
原因となるウイルス
ライノウイルス
かぜの原因として、最も多いと考えられているウイルスです。普通のかぜ症状を引き起こします。秋に多くみられますが、春にもみられます。かぜ症状の後に、喘息を引き起こすことがあります。
RSウイルス
新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、流行時期が変わっていますが、以前は冬に流行していました。新生児や乳幼児が感染すると、無呼吸発作を起こしたり、喘鳴が聞かれる細気管支炎や肺炎を起こすことがあり、また、治癒後に喘息症状がみられることもあります。最近妊婦にRSワクチンを接種して、生まれてくる新生児、乳児のRSウイルス感染を防ぐ試みが始まっています。
ヒトメタニューモウイルス
2001年に発見された比較的新しいウイルスです。RSウイルスに近いウイルスで、症状も似ています。乳幼児が感染することが多く、喘鳴をともなう気管支炎を起こしやすく、5日間くらい発熱することがあります。
アデノウイルス
以前は夏に流行していましたが、今は1年中みられるウイルスです。咽頭炎、扁桃炎を起こすことが多いですが、その他に、結膜炎を起こす咽頭結膜熱(プール熱)や流行性角結膜炎、胃腸炎や出血性膀胱炎などがあり症状は様々です。潜伏期間が、数日から2週間くらいと長いことも特徴です。5日間くらい高熱が持続することがあります。解熱後、2日平熱の日が続いたら登園可能です。
エンテロウイルス
従来は夏に流行するウイルスの代表でした。エンテロウイルスが原因となるものに、手足口病やヘルパンギーナなど口内炎がみられる病気や熱性けいれん、ウイルス性髄膜炎など神経系の病気がよく知られています。数週間便の中にウイルスが排泄されるので、おむつ交換後の手洗いが感染予防に大切です。
インフルエンザウイルス
従来は12月末から2月頃に流行がみられました。熱帯では、乾期に流行がみられ、雨が降ると流行が鈍ることが知られています。乾燥した環境を好むウイルスです。AとBがあり、流行が予想されるA2株、B2株を混ぜ合わせた4価ワクチンが毎年製造されています。通常のかぜよりも感染力が強く、症状も重いことが特徴です。発症は急激で、高熱、頭痛、咽頭痛、関節痛があり、全身倦怠感を伴います。発症翌日から5日間経ち、かつ、幼児は解熱後3日間、小学生以上は2日間、平熱であれば登園登校できます。
予防接種新型コロナウイルス
2019年に発見され、その後世界中に広まったウイルスです。新たな変異株が次から次へと現れ、周期的な流行が継続しています。症状は、発熱、咽頭痛、咳、倦怠感などで、他のかぜでもみられる非特異的な症状です。2023年5月8日から感染症法上5類に移行されました。5日間は自宅療養、5日目に解熱していれば登園登校可です。
原因となる細菌
溶連菌(A群溶血性連鎖球菌)
主な感染経路は飛沫感染で、潜伏期間は1週間以内です。咽頭痛、発熱が主な症状で、おう気やおう吐を伴ったり、発疹がみられることもあります。治療の第一選択は、ペニシリン系抗生物質です。治療開始後24時間経過し、解熱して全身状態がよければ登園登校可能です。合併症に急性糸球体腎炎やIgA血管炎などがあります。
マイコプラズマ
マイコプラズマというと肺炎が有名ですが、肺炎やかぜ症候群などの呼吸器の病気以外に、中耳炎、髄膜炎、脳炎、心膜炎、心筋炎、関節炎、筋炎など全身に様々な病気を起こすことが知られています。多くの場合自然治癒します。肺炎の場合は、痰の少ない乾いた咳がみられ、治療にはマクロライドなどの抗菌薬を用います。
2急性胃腸炎

ウイルス性胃腸炎は自然に回復するのを待ちます
急性胃腸炎は主にウイルスが胃腸に入って、腹痛、嘔吐、下痢などの症状を起こす病気です。
原因ウイルスには、ノロウイルス、アデノウイルス、サポウイルス、アストロウイルス、ロタウイルスなどがあります。
ロタウイルスは、予防接種が定期化されてから激減しており、昔のように点滴が必要な重症例をみることはなくなりました。現在では、ノロウイルス胃腸炎が最も症状の強い胃腸炎で、ウイルス性食中毒の原因にもなります。
ウイルス以外に細菌性胃腸炎があります。
細菌は主に食物について体内に入ってきます。いわゆる細菌性食中毒です。最も多いのがキャンピロバクターです。加熱が不十分な鶏肉、牛肉や未滅菌の牛乳などを摂取したときに感染することがあります。ウイルス性胃腸炎に比べ、症状が強い傾向があります。血便がみられたり、腹痛が長引いたり、発熱が続く場合は、便の細菌検査を行います。
胃腸炎の症状
- 腹痛
- 下痢
- 嘔吐
- 発熱
- 脱水
- けいれん(乳児)
原因となるウイルス
ノロウイルス
主に秋から冬にかけて流行する胃腸炎の原因ウイルスですが、1年中みられます。感染者の便や吐物からの経口感染が主な感染経路ですが、ウイルスで汚染された食品を介して食中毒を起こすこともあります。
潜伏期間は半日から2日で、突然のおう吐で始まります。
発熱は比較的少なく、腹痛、下痢がみられます。
ほとんどの場合3~4日で軽快します。
感染力が強いので、兄弟や両親への感染に注意が必要です。
ロタウイルス
かつて冬から春にかけて流行していた胃腸炎の原因ウイルスです。発熱、おう吐、下痢がみられ、乳幼児がかかる胃腸炎の中では最も症状が強い胃腸炎でした。ロタウイルスワクチンのおかげで最近では点滴や入院が必要になる重症例を見ることはなくなりました。
原因となる細菌
キャンピロバクター
菌で汚染された肉や乳製品の摂取で感染します。
肉の中では鶏肉が原因となることが最も多く、すべての鶏肉にはキャンピロバクターがついていると考えて取り扱う必要があります。十分な加熱調理により感染を防ぐことができます。
潜伏期間は2~7日です。ウイルス性の胃腸炎に比べ、腹痛や水様性下痢の症状が長引く傾向があり、血便がみられることもあります。ほとんどの場合7日程で自然治癒します。
サルモネラ
菌で汚染された生卵、肉などの摂取で感染します。ペットや昆虫から感染することもあります。潜伏期間は半日から3日ほどです。
発熱、おう吐、腹痛、下痢などの症状がみられます。軽症例では抗生物質の必要はないと言われています。症状が治まった後も排菌が続くことがあります。
当院での治療
- ウイルス性の胃腸炎の治療の基本は、自然に胃腸が回復してくるのを待つことです。そして、胃腸の回復具合に合わせた水分、電解質、食事の適切な与え方です。嘔吐がある場合は、嘔吐が治まってから経口補水液を少しずつ与えます。嘔吐がおさまって水分がとれるようになったらひと安心です。
- 水分がとれて空腹感(食べ物を欲しがるようになる)が出てきたら、お粥などの消化しやすい食べ物を少しずつ与えてください。胃腸が回復するのには、2~3日かかることが多いですので、2~3日かけて普段の食事にもどすようにしてください。下痢が続く場合は整腸剤を処方します。水分がとれず脱水になった場合は入院治療が必要です。
- 細菌性胃腸炎の場合は、便の細菌検査をして、症状に応じて抗生物質を処方します。多くの場合3~4日で回復します。原因としては、加熱が不十分な肉料理を食べていることが多いようです。
- その他の胃腸炎の原因に、タバコや洗剤などの有害物質の摂取があります。その場合は当院では対応不可能ですので病院を受診してもらいます。
3その他の感染症
突発性発疹
6か月から1歳頃の赤ちゃんが始めて発熱したときにかかっていることが多い病気です。
突然高熱が出ますが、軽い下痢がみられる程度で、かぜ症状はあまりみられません。
3日ほど高熱が続き、解熱してから体に発疹がみられます。
解熱後に機嫌が悪くなることがあります。
高熱が出るため、熱性けいれんがみられることもあります。
ヒトヘルペスウイルス6および7が原因です。

肺炎
咳や鼻水、発熱などのかぜ症状で始まりますが、4日以上発熱が持続し、咳が徐々に強くなってきます。それに伴い、食欲が低下し、活気も不良になります。
呼吸音や血液検査の結果も参考にして治療方針を決めます。
全身状態が悪い場合は入院治療を勧めます。

急性中耳炎
かぜの症状が長引いているときに発症することがあります。
小児は耳管(鼻の奥と中耳とをつなぐ管)が短いため、中耳炎になりやすいと言われています。
鼻をすする癖も中耳炎になる可能性を高めます。子どもが耳の痛みを訴えたり、耳だれがみられたりして気づかれます。赤ちゃんは夜中に泣くことで気づかれることもあります。

とびひ(伝染性膿痂疹)
黄色ブドウ球菌や連鎖球菌の感染によって起こります。夏に多くみられます。
けがや湿疹などの皮膚にできた傷に細菌がつくことによって発症します。
水疱やジクジクした皮疹がみられ、それが周囲に飛び火していくように広がります。
抗生物質の飲み薬や塗り薬で治療します。

水痘(水ぼうそう)
水痘・帯状疱疹ウイルスに始めてかかったときに発症します。潜伏期間は約2週間です。
感染力はとても強く、空気感染、飛沫感染、接触感染でうつります。
始め体に虫刺されのようなかゆみのある発疹ができ、それが次第に増え、水疱になります。
水疱はすぐに破れ、かさぶたになります。すべての発疹がかさぶたになるまでに1週間ほどかかり、その間は登園登校禁止です。ワクチン接種をしていると軽く済みます。
治った後にもウイルスは体内に潜伏しており、将来帯状疱疹を発症することがあります。

おたふく風邪
おたふくかぜウイルスに感染した時に、2~3週間の潜伏期間を経て発症します。
耳下腺、顎下腺の腫脹、痛み、発熱などの症状がみられます。
有効な薬はありませんので、対症療法で経過をみます。
発症から5日以上経って、体の状態がよくなっていたら登園登校可能です。
合併症に、無菌性髄膜炎、膵炎、精巣炎、卵巣炎、難聴などがあります。
りんご病(伝染性紅斑)
ヒトパルボウイルスB19の感染によって発症します。症状は、無症状か軽いかぜ症状ですが、2週間以降に発疹が現れます。
名前のように、頬がりんごのように赤くなり、手足に網状の発疹がみられます。
発疹が出る時期には、感染力はほとんどありません。

水いぼ(伝染性軟属腫)
伝染性軟属腫ウイルスの感染によって発症します。小さなドーム型のいぼです。
いぼの中にはウイルスが入っていますので、掻いてつぶすと中からウイルスが出てきます。
ウイルスのついた爪で他の場所を掻くとそこに新たな水いぼができます。
1年ほどで自然に治ります。
予防接種について

子どもたちにとって感染症は最も身近な病気ですが、なかには、細菌性髄膜炎のように命にかかわる重い病気や難聴などの後遺症をみとめる病気もあります。大切なお子さまを感染症から守るために、ワクチンで防げる病気はワクチンで防ぐことが大切です。
当院では、定期接種に加えておたふくかぜなどの任意接種ワクチンも接種しております。ぜひお気軽にご相談ください。