舌下免疫療法の基本事項
舌下免疫療法をされている患者さん向けに、基本事項や注意点をまとめました。今一度目を通していただき、みなさんが安全に治療を継続され、症状の改善が得られることを希望します。
治療の概略
初めの1週間は低濃度の薬を舌下投与し、2週目からは高濃度の薬を舌下投与します。
治療期間はおおむね3年です。治療開始後1~2年で効果の判定をします。効果のある場合は、4~5年の継続を勧めます。
薬の管理
薬は室温で保管してください。
薬の形状がラムネに似ているため、他の子どもが間違えて食べたりしないように、子どもの手の届かないところに保管してください。
服薬時の注意
舌下免疫療法の薬は非常に溶けやすい薬です。使用直前まで開封しないようにし、濡れた手で触れないようにしてください。
舌下投与前後2時間は激しい運動を絶対にしないでください。血のめぐりがよい時に服用すると、薬の成分の吸収が早まりアナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応が起きやすくなります。入浴も時間をあけるように注意してください。
舌下投与後5分間は、食事、飲水、歯磨きを行わないようにしてください。
舌下投与のタイミング
自転車通学をしていたり、1・2時間目に体育の授業がある場合は、朝の舌下投与はしないで、帰宅後にしてください。帰宅後に舌下投与する場合は、クラブなどの運動と入浴時間を考慮して時間を決めてください。毎日同じ時間に舌下投与する方が忘れることが少ないですが、日によって朝に舌下投与したり、夜に舌下投与したりしても問題はありません。
舌下免疫療法の副反応への対応
舌下免疫治療薬は、スギ花粉やダニの抗原(アレルギーの原因となる部分)からつくられている薬です。副反応として、アレルギー反応が起こることがあります。アナフィラキシーショックのような命に関わる副反応は非常にまれですが、軽い副反応はしばしばみられます。それらは、服用後30分以内に出ることが多く、治療開始1か月以内に多くみられます。ほとんどの副反応は治療を継続しているうちに治まっていきます。
最も多いのは、服用後に薬を入れた舌下部分が腫れるという副反応です。ほとんどの場合30分以内に治まりますが、長引く場合は抗ヒスタミン薬を服用してください。2日以上続けて腫れた場合は、舌下投与30分前に抗ヒスタミン薬を服用してから、舌下投与をしてください。
舌下治療薬を入れる位置についてですが、舌の下面の中央に舌小帯というひだがありますので、日によって今日は右側、翌日は左側というように位置を変えてください。腫れにくくなります。
舌下投与後に口の中がピリピリする、違和感がある場合は、舌下部分の腫れがないか確認してください。腫れがない場合は、治療初期にみられる軽い副反応ですので治療を継続してください。1週間以内にほぼ治まります。
舌下投与後に鼻水などの鼻炎症状が出ることも、治療初期にみられることがあります。症状が30分以上続く場合は抗ヒスタミン薬を服用してください。
舌下投与後に咳が出た場合、短時間の軽い咳であれば翌日以降も治療を継続してください。息苦しさや喘鳴といった喘息症状がみられた場合は、喘息治療薬を使用し、医院へ連絡してください。舌下投与は喘息が治まるまで一旦中止します。
舌下投与後に全身のじんましんが出た場合は、すぐに抗ヒスタミン薬を服用して、医院へ連絡してください。舌下投与は一旦中止します。
舌下免疫治療の副反応が続く場合は、服薬量の減量や吐き出し法への変更を検討します。
舌下投与を止めるべき場合
発熱、嘔吐、喘息発作など体調の悪い日は舌下投与を止めてください。
歯科治療で、抜歯など出血を伴う治療をした場合は舌下投与を止めてください。抜歯や切開、口腔内のけがなどの場合は、歯科医に傷の治り具合をみてもらい、1週間ほど舌下投与を中止してください。
舌下投与の間違いなど
1分間経たないうちに飲み込んでしまった場合は、様子を観察して変わりがなければ、翌日から治療を継続してください。
飲み忘れた場合は、そのままにして、翌日通常どおりの量で舌下投与をしてください。
薬が欠けて全量飲めなかった場合は、その日はそのままにして、翌日から通常の舌下投与を継続してください。
2回舌下投与をしてしまった時、すぐに気づいた場合は薬を吐き出してうがいをしてください。飲み込んでしまった場合は様子を観察して、強い副反応がなければ、翌日から通常の舌下投与を継続してください。
旅行に行く場合
家族と離れて一人で参加する合宿などを含め、1週間以内の旅行では休薬してください。旅行中は疲れや入浴時間の違いなど普段の生活と異なるため、休薬した方が安心です。長期間の帰省などの場合は、移動当日は休薬して、その後は帰省先などでの生活リズムを考慮し、服薬時間を決めて舌下投与を継続してください。
1週間以上の海外旅行の場合も休薬してもらいますが、再開方法は相談の上決めます。
併用できない薬
舌下免疫療法中は4日以上のステロイド内服薬の使用はできません。
予防接種を受ける場合
すべての予防接種を受けることはできます。予防接種と舌下投与の時間は2時間以上あけてください。
鼻や目にアレルギー症状が出る場合
舌下免疫療法中でもスギ花粉やダニによるアレルギー症状が出ることはあります。また、他のアレルゲンが原因となりアレルギー症状が出ることもあります。そのような場合には、抗ヒスタミン薬の内服薬や点鼻薬、点眼薬などで治療をしてください。
気管支喘息の発作時
症状が安定している場合は予防薬(ステロイド吸入薬やロイコトリエン受容体拮抗薬など)を継続してください。小発作(咳や喘鳴が出ているが日常生活は通常どおり)の場合は、追加の薬剤(気管支拡張薬の内服、貼付、吸入など)を使用しながら、舌下投与を継続してください。中発作以上の場合や小発作でも過去に急に悪化したことがある場合は、舌下投与を中止して受診してください。
食物アレルギー症状が出た時
食物アレルギー症状が出た日は、舌下投与を中止して下さい。アレルギー症状が2~3日以内に治まれば再開してください。アレルギー症状が長引く場合は受診してください。
アトピー性皮膚炎が悪化した時
舌下免疫療法でアトピー性皮膚炎が一時的に悪化することがあります。軽度であればアトピー性皮膚炎の治療も併せて行い、舌下投与を継続して経過をみます。悪化の程度が強い場合は舌下投与を一時中止して受診してください。
