赤ちゃんの睡眠
赤ちゃんの睡眠は大人の睡眠とは異なります。睡眠時間や睡眠パターンは月齢とともに変化します。 赤ちゃんの睡眠は短い周期でレム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されています。 大人と比べると、深い睡眠の時間が少ないので、夜中にも目を覚ましやすい特徴があります。
赤ちゃんの睡眠の記録
1日が1行、黒い線が引かれている部分が眠りの時間、白い部分が起きている時間を示します。 生後1か月までは1日中寝ている時間が多く、昼と夜との区別はつきません。1日中1~数時間の睡眠と覚醒を繰り返しています。 生後1~2か月にかけて徐々に日中の睡眠時間が減ってきて、白い部分が増えてきます。夜間の睡眠時間がまとまって長くなってきます。 3か月頃からは、月齢とともに日中に起きている時間が増えてきます。
睡眠の種類
神山潤 「夜ふかし」の脳科学より引用
大人の睡眠のパターンを示しています。
睡眠は一定ではなく、眠りの深さの異なる睡眠があります。レム睡眠とノンレム睡眠と呼ばれています。ノンレム睡眠は、脳波の波形により4段階に分けられています。深い眠りに入ると、脳や筋肉の活動が低下し、すやすやと安らかに眠っている様に見えます。この時に起こそうとしてもなかなか目が覚めません。レム睡眠は、脳波は覚醒時に近い睡眠です。寝言を言ったり、体を動かしたり、寝返りをうったり、泣いたりする様子が見られます。 睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠の2種類の睡眠から成り立っています。寝ている間、レム睡眠とノンレム睡眠は交互に繰り返しています。1回のレム睡眠とそれに続くノンレム睡眠を合わせて睡眠の1セットになります。1セットの長さは月齢年齢によって異なります。
新生児では40~50分、幼児では80分くらい、成人では約90分といわれています。
赤ちゃんはレム睡眠とノンレム睡眠の1セットの時間が短いので、比較的短い周期で、浅い睡眠と深い睡眠とを繰り返しています。浅い睡眠の時には、動いたり、ぐずったり、泣いたりすることがあります。成人は寝入るとすぐにノンレム睡眠に入りますが、生後半年頃までの赤ちゃんの睡眠はレム睡眠で始まります。そのため、赤ちゃんは寝始めに音などの刺激で目を覚ましてしまうことがあります。 レム睡眠やノンレム睡眠の段階1、2は比較的浅い睡眠で、起こしたときに起きやすいといえます。ノンレム睡眠の段階3、4は深い睡眠なので、起こしても起きにくい特徴があります。
レム睡眠の割合
睡眠関連病態(中山書店)より引用
睡眠時間全体に占めるレム睡眠の割合は、新生児期は約50%、6か月児は約30%、成人では約20%で、加齢とともに減少していきます。
生体時計
脳内の視神経が交差する部分の真上にある視交差上核というところに生体時計があります。
人では生体時計の1日の周期が24時間よりも数十分長いので、そのままにしておくと毎日少しずつ遅れていきます。やがて、起きる時間が徐々に遅くなっていき、昼頃に起きるようになったりします。そうならないようにするために、私たちは毎日時計あわせをしています。朝の光、食事や授乳、生活環境(登園、登校などの日常ルーティーン)によって、毎日体内時計のずれを修正しています。
最も大きな効果があるのが、朝の光です。
朝起きて太陽の光を目に入れることで体内時計がリセットされます。12~14時間後には眠くなってきます。早く寝るためには、早く起きることが必要です。反対に、夜に光を浴びると(脳がまだ昼間であると勘違いをして)体内時計の周期が伸びて、体内時計のずれが大きくなります。その結果、夜眠れなくなったり、朝起きられなくなったりします。大人の夜行性生活の影響を赤ちゃんや子どもに与えないように気をつける必要があります。赤ちゃんの時から、毎朝太陽の光を浴びて体内時計を地球の時間に合わせる習慣をつけておくことが生活リズムの基礎をつくる上で重要です。
・・・人類は誕生した20万年以上前から、今日に至るまで昼間に活動する昼行性の動物です・・・
赤ちゃんは一晩中ぐっすり眠っているわけではありません。深い眠りと浅い眠りを繰り返していますので、浅い眠りの時に夜泣きやぐずりがみられることがあります。3~4か月頃になると、夜間にまとまって眠る時間が増えてきて、日中眠る時間が減ってきます。6か月頃になると、睡眠に占めるレム睡眠の割合が30%くらいに減り、ノンレム睡眠の中の深い睡眠の時間が増えてきます。 起こすときの睡眠がどのような状態にあるかで寝起きのよさが変わります。深い睡眠のときに起こすとぐずってなかなか起きてくれません。数十分時間をずらすと、浅い睡眠になっている可能性があり寝起きがよくなることがあります。