子どもたちと砂糖
子どもたちは1日にどれくらいの砂糖を摂取してもよいのでしょうか。WHOなどにより子どもたちに推奨されている砂糖類の1日の摂取量は、以下の通りです。
1~2歳には原則与えない(5g未満)
3~5歳は10g未満(~20g)
小学生は15~20g(~40g)
中学生以上は20~25g(~50g)
(注)カッコ内は緩い基準です。
砂糖類とは、砂糖(ショ糖)のほか、ブドウ糖、果糖、蜂蜜、メープルシロップなど食品に加えられている糖類で、果物や野菜や牛乳などに元々含まれている糖類は含まれません。
食べ物、飲み物に含まれている砂糖類の量ですが、ショートケーキ1個には30~40gくらい、アイスクリーム1個には30gくらい、ガリガリ君1本には17gくらい、チューペット1本には6~7gくらいの砂糖類が含まれています。
コーラなどの炭酸飲料(500ml)には45~55g、ジュース(500ml)には30~60g、スポーツドリンク(500ml)には20~30gの砂糖類が含まれています。い・ろ・は・す もも(555ml)には25gくらい、Newヤクルト(65ml)には11gくらいの砂糖類が含まれています。
幼児や小学生では、ケーキやアイス1個、500mlのペットボトル1本をそのまま与えると、それだけで1日の推奨摂取量を超えてしまうことがあります。おやつの時のジュースなどは、小さい時からコップに入れて与える習慣をつけておきましょう。おやつに甘いお菓子を出す時の飲み物はお茶やお水にしましょう。砂糖類のとりすぎは、よく知られているように肥満や虫歯の原因になります。
夏は清涼飲料水を飲む機会が増えますが、ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)にも注意が必要です。1日に1~1.5リットルの清涼飲料水(炭酸飲料やジュースなど)を1か月以上飲み続けていると起こることがあるといわれています。砂糖類の過剰摂取で血糖値が上がり、のどの渇き、多尿、倦怠感、イライラなど糖尿病と同様の症状がみられます。のどが渇くのでさらに清涼飲料水を摂取するという悪循環に陥ります。進行すると、おう吐、脱水、意識障害などが見られ危険な状態になることがあります。
また、細胞内で糖類を分解してエネルギーを作る一連の反応の中で、ビタミンB1(チアミンとも呼ばれる)を必要とする反応があります。砂糖類のとりすぎはビタミンB1をたくさん消費するため、ビタミンB1を適切に摂取していないと欠乏症を招くことがあります。ビタミンB1は、豚肉、ごま、玄米、全粒粉のパン、うなぎ、かつお節、アーモンド、インゲン豆、大豆、小豆などに多く含まれています。清涼飲料水をたくさん飲みビタミンB1の消費が増え、さらに、偏食によるビタミンB1の摂取不足が重なると、ビタミンB1欠乏症になります。ビタミンB1欠乏症は、重症化すると心不全や末梢神経障害を引き起こす脚気(注1)や脳の障害を引き起こすウェルニッケ脳症(注2)を発症する可能性がありますので注意が必要です。
甘い食べ物、飲み物は身の回りにあふれています。甘い食べ物や飲み物は私たちにとって楽しみではありますが、過剰摂取にならないように十分気をつけましょう。
(注1)脚気(かっけ)
ビタミンB1(チアミン)の欠乏によっておこる病気で、心不全によって足(脚)がむくみ、末梢神経障害によって足(脚)がしびれるため脚気(足に症状がみられる病気)と名付けられました。白米を食べるようになった江戸の人々に多く見られたので「江戸患い」と呼ばれたことがありました。明治から大正にかけては白米を主食とした日本陸軍で多くの患者が見られ、日露戦争では戦死者数よりも病死者数の方が多かったそうです。
(注2)ウェルニッケ脳症
ビタミンB1(チアミン)の欠乏によっておこる病気で、意識障害、目の動きの異常、ふらつきといった症状が見られます。脳細胞ではエネルギー源としてブドウ糖のみを利用しています。ビタミンB1が不足すると、ブドウ糖をエネルギー源として有効に利用できなくなり、エネルギー不足となり脳細胞が障害を受けます。早期に診断がついた場合は、ビタミンB1の大量投与により治療することができます。
