舌下免疫療法の紹介 ー その2
公開日:2018年12月02日
スギ花粉症とダニによるアレルギー性鼻炎の患者さんへ
舌下免疫療法の紹介 ー その2
舌下免疫療法とは、スギやダニに対してアレルギーがあるアレルギー性鼻炎の患者さんに、スギ抗原(注1) やダニ抗原(注2) を薬として、少量から投与して、スギやダニに体を慣れさせる、強くする減感作療法(注3) という治療方法のひとつです。抗アレルギー薬の内服や点鼻といった対症療法とは異なり、アレルギーを根本的に直すことを目指す治療です。
注1 スギ抗原の薬 : シダキュア(2018年6月末発売)
注2 ダニ抗原の薬 : ミティキュア
注3 減感作療法 : アレルゲンに対して敏感に反応する(感作されている)状態を弱める(減じる)治療
同じアレルギー性鼻炎でも、スギ花粉症とダニによるアレルギー性鼻炎では大きな違いがあるようです。スギ花粉症は、スギ花粉の飛散時期に症状が悪化しますのでわかりやすいのですが、ダニの場合は、1年中身の回りにいますので症状があってもわかりにくいという特徴があります。鼻づまりやかゆみがあっても、それが毎日のことだと当たり前になってしまうこともあります。症状が強くても、しかたないと思ったり、我慢したりしている人も多いようです。
ところが、鼻水や鼻づまり、かゆみなどの症状は、集中力や思考力を低下させます。その結果、気づかぬうちに自分の能力を十分に発揮できない状態(impaired performance)になっていることもあります。授業に集中できなかったり、学業成績に影響が出たりする可能性もあります。また、スギ花粉の飛散時期は、受験の時期にも重なります。止まらない鼻水、頻回の鼻かみ、鼻づまりによる睡眠の質の低下、薬の副作用による眠気などは、普段の勉強だけでなく受験勉強の支障になる恐れもあります。
舌下免疫療法は、症状の改善だけでなく、使用薬剤の減量も期待できます。症状の軽減による生活の質(QOL)の改善は、勉強やスポーツなどにも好影響を与えると考えられます。これまでの治療で症状の改善が十分に得られていない人だけでなく、鼻炎の治療が必要であるすべての人にとって、試みる価値のある治療だと思います。