百日咳
公開日:2019年11月03日
百日咳という病気は皆さんも耳にしたことがあると思います。百日もの長い間咳が続く、という病名です。風邪と同様の症状で始まり、その後痙咳期という激しい咳が続く期間が2~3週間みられ、その後徐々に咳が軽くなっていき、2~3か月で咳が治まる病気です。百日咳は四種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオ)に含まれている病気で、ほとんどの赤ちゃんは生後3か月から初回接種を3回受けて、さらに1年後の追加接種を受けています。追加接種を受けた子どもたちはほぼ100%百日咳に免疫がありますが、この免疫が予想以上に早く、4~12年で低下することがわかりました。日本の百日咳患者は小児に多く、ピークは7歳児です。子どもたちの多くは4回ワクチン接種をしているにもかかわらず、百日咳にかかってしまっています。そのため、小学校入学前に百日咳ワクチンの追加接種(5回目の接種)をすることを、日本小児科学会は勧めています。子どもだけではなく、大人の百日咳も問題になっています。特に大人の場合は、典型的な百日咳の症状がみられず診断が難しいこともあります。百日咳は6か月未満の乳児がかかると重症化し、命に関わることもあります。私も研修医の頃、百日咳で入院してきた赤ちゃんが無呼吸を繰り返すのを目にしたことがあります。予防接種が済んでいない乳児を百日咳から守るためにも、周囲の人たちが百日咳を含むワクチンの接種をして、百日咳に対する免疫をつけておくことが大切です。三種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳)は、就学前の小児だけでなく、成人にも接種することができます(任意接種)。
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